塾の費用は、高いか安いか?
それから、子供を塾にやる前に、もう一つ理解しておかねばならないことがある。
それは、塾にかかる費用のことだ。
中学受験で塾にやるということは、最低50万円以上の買い物をするということだ。
100万円どころか、乗用車1台分くらいの費用がかかる場合だってある。
たとえ一ヶ月2万円前後の安い塾でも、2年間では50万円以上になる。
中学受験の場合は、なんだかんだで月4万円くらいになるところが多いし、夏期講習だ冬期直前講習だとか言って、さらにお金がかかる。
6年生になるとさらに特訓だとか言って、いろいろ合わせると、一年で100万円くらいかかるところもある。
何でこんなにかかるの? というと、まず塾は物を売るところじゃない。
カタチのある物(経済学では、財とか商品と呼ぶ)を売るわけではなくて、カタチのない物(サービス)を売っているところだ。
サービスというのは、お客さんの代わりに何かをすることで、お金をもらう仕事だ。
サービスを買うっていうことは、誰かにお金を払って何かをやってもらうことだ。
一番わかりやすいのは散髪屋さんだね。
髪の毛をハサミでバサバサ切ってくれる。
切ってくれるだけで、何かをくれるわけではない。
他にもコーヒーを入れてくれる、配達してくれる、体験させてくれる、成長させてくれる…こういうのがサービスだ。
サービスというモノは、カタチのある物のようには大量生産ができない。
商品のように機械で大量に作って、在庫しておくっていうわけにはいかない。
散髪屋さんが前もって、お客さんの髪をたくさん切っておくってわけにはいかないだろう?サービスというのは、お客さんが来たときにしか、サービスできない。
準備はできるが、あらかじめ作って貯めておくことができないのがサービスの特徴だ。
しかし、準備は常にしておかなければならない。
たとえばお客さんが来たとき、散髪する人がいなければ散髪というサービスできないよね?
だから、散髪屋さんは理容師を営業時間中ずっと、待機させておかなければならない。
理容師さんがちゃんと仕事ができるように環境を整え、トレーニングもしなければならない。
つまりお客さんが来ても来なくても、人件費や教育費はかかってしまう。
そしてその分の収入を確保しないといけないから、高い料金設定になってしまうんだ。
機械でできることは安くなるけど、できないことは高くなる。
これは理解しておかないといけないことだろうね。
そして、サービスの費用が高いかどうかは、あくまでも価値観次第だ。
相場はあるけど、絶対的な基準はない。
サービスの料金が、高く感じられるか安く感じられるかは、それぞれの経済状態にもよるし、かなえたいことの大きさにもよるんだね。
お金があって、何が何でもかなえたいことであれば、月に10万円以上払ってもいいと思うし、そうでなければ1万円でも高いと思う。
つまりサービスの料金が高いか安いかは、相対的なものだし、感じ方なんだ。
『塾にやったって、成績なんか大して上がらないよ』と思ったら、塾の費用は高いし、『あの塾にやったら、うちの子でも勉強できるコにしてくれる』と思ったら、塾の費用は安い。
だから同じ塾でも、『勉強できるコにしてくれそう』と思っている間は費用は安く感じるし、成績が思ったほど上がらないのがわかれば、料金が同じでも高く感じるようになる。
塾の料金が高いか安いかは、もう本当に払う方の気持ち次第なんだね。
【中学受験:塾の選び方】
進学塾に通わせるというのは50万円以上の出費