親の仕事は、子供に良いインセンティブを与えること
子供を塾にやったからと言って、勉強ができるようになるワケじゃない。
ましてや、目指す中学に合格できるワケじゃない。
確かに塾は、学校に比べたら、勉強ができるようにトレーニングをしてくれるね。
いろんな教材を使って、理解がしやすいようにはしてくれる。
毎回のように確認テストをやってくれるし、月例テストや実力テストなどで学力をチェックして、どういう勉強をすればいいかのアドバイスもしてもらえる。
ただ学校も塾も、できることはやってくれるけれど、結果に関しては保証しない。
というのも勉強ができるようになるインセンティブは、学校や塾ではうまく与えられないからね。
インセンティブっていうのは、人をある方向に動かすための誘因のことだ。
馬を走らせるために鼻先にぶら下げるニンジンのようなもの、ってよくたとえられる。
『百点取ったら、遊園地に連れて行ってあげる』みたいな感じだ。
でも学校では、モノで生徒を釣って勉強させるようなことはできない。
『この問題ができた人だけ、ごほうびをあげます』なんて、学校ではできない。
せいぜい、ほめてあげるくらいのことしかできない。
もちろんごほうびや賞品だけがインセンティブではなく、努力を正しく評価するというのも良いインセンティブになる。
『ほめる』というのも、有効なインセンティブになる。
でも、ただほめるというのも、大勢の人間がいる中では、かなり難しいことなんだね。
というのも、誰がほめられても、それによって、やる気をなくす者がいるから。
また、モノで釣るって言ったって、それに乗ってくる生徒と乗ってこない生徒がいる。
塾などでは、家で勉強してもらうために宿題をしてきたらハンコを一個押して、
ポイントがいくつか貯まると、文房具などがもらえるなんてことをやっているところも多い。
ところが実際こういうことをやってみると、こういうのが大好きな生徒は、
宿題をやってきて賞品をたくさんもらうけれど、嫌な生徒は、やっぱり全然やってこない。
<ごほうび>が効くかどうかは、子供によっても違うし、状態によっても変わってくるってことだ。
となると、一番良いインセンティブを与えられるのは、実は家庭しかないということになる。
だって子供が何を欲しがっているか、何をすれば喜ぶのかわかるのは、いつも子供を観察できる者だけだからね。
そして実際にそれを与えられるのは、親や家族だけだからね。
いくら塾の先生にそれがわかったとしても、特定の生徒だけにモノを買ってあげるわけにはいかないし。
家庭では、子供が少しがんばれば手に届きそうな目標を設定して、
それを達成したら、必ずほめたりご褒美をあげたりすることが必要だ。
もちろん家庭でも、高価なモノは子供に買い与えない方がいい。
ちょっとしたごほうびくらいがちょうどいい。
子供が勉強して合格するインセンティブをうまく与える。
これが中学受験に取り組む親の、最大の仕事だね。
【中学受験との取り組み方】 子供に勉強をさせるには、適度なインセンティブ(ごほうび)が必要だ。
ほめたり、うまく行ったら、ちょっとしたご褒美をあげたりしよう。
ただ高価なモノは厳禁だ。賞品がないなら勉強しないというクセがつくことがある。