塾を見学する前に考えねばならないこと
そういうわけで、家庭学習だけで中学受験を成功させるのは、かなり難しいね。
難関中学や上位校に合格するには、針の穴にラクダを通すようなものかも知れない。
ただはじめにも言ったとおり、塾に通わせれば勉強ができるようになって、目標校に合格できるかというと、これも怪しい。
中学受験の勉強は、家でやらなきゃならないが、家だけでもできないということだね。
「センセー、なんか禅問答みたいだね。」
うーん、受験の技術を教わるのは塾で、勉強を身につけるのは家で、ってことかな。
「…んで、塾はどんな塾がいいの?」
それはもう、目的と、相性と、コストの問題だね。
ハッキリ言って、どれが良くてどれが悪いかは、考え方次第だ。
たとえば長時間、子供を拘束する塾もあるし、拘束はしないが宿題が山盛りの塾もある。
かと思うと大手塾でも市進学院のように、6年生になるまでは8時前には生徒を帰し、宿題もほどほどというところもある。
(それでも難関中学にたくさん合格させている)だから近くにある塾がどのような塾で、
入塾させたら生活がどのように変わるか考えた上で、塾やコースを選ばなければならない。
ところが、見学や体験をしてみて、子供が行くって言えば、そのまま入塾してしまう人が多い。
センセーが働いていた塾でも、見学に来た人の7割以上はそのまま入塾してたからね。
それで後から文句を言ってこられても、塾としては困るんだけど。
また塾が主催している無料テストなどを子供に受けさせたら、全然できないのにビックリして、そのまま入れてしまうようなことも、よくある。
中学受験向けの勉強をしていない子供に、中学受験のための学力テストをやったら、易しくてもできないのは当たり前なんだけどね。
まあしかし、塾にやるかどうかを迷うのであれば、1つ判断基準を書いておこう。
その塾は、晩ご飯までに子供を帰してくれるのかどうかだ。
ハッキリ言って、夕食までに子供を帰してくれない塾は、やめておいた方がいい。
子供に遅くまで塾通いをさせるというのは、子供の自立心を養うのには有効かもしれないけど、食卓という家族のコミュニケーションの場を失う恐れがある。
進学塾の側のゴールは、生徒を中学に合格させることだから、できるだけ長時間塾に生徒を来させて、勉強させたい。
そしてお金もたくさんもらいたい。
でもそれは、家庭のゴールじゃないよね。
ここはよく考えないと。
中学生や高校生になれば、親と距離を置きたい場合もあるけど、しかしそういうチャンネルは常に開いておきたいものだ。
塾で教えていた人間がいうことじゃないかも知れないが、中学受験のために、家庭の生活のあり方が変わるというのは、いいことじゃない。
勉強のために、長時間、塾に拘束しようとする塾は、敬遠しておくべきだとセンセーは思う。
自由に使える自習室なら、あった方がいいと思うけどね。
【中学受験の塾選び】 子供の塾通いは、家庭のあり方自体を変えてしまうことがある。
長時間、生徒を拘束しようとする塾は、やめておいたほうがいい。