公立中学のメリット・デメリット
センセーが子供の頃は、私立中学に進学する人は、特別な家の人だった。
でも今は、経済的によほど困っていない限り、私学進学は普通の選択肢だ。
というのも以前より教育にお金をかけるのが当たり前になり、また公立中学の悪いところが目立つようになってきたからね。
じゃあミキちゃん、まず公立中学のメリットって、なにかわかるかな?「ん~、家の近くにあるとか、お金がかかんないとか?」
そうだね。
公立中のメリットとしては、
- 家の近くにある
- 費用があまりかからない
- 標準的な教育が受けられる
- 高校進学の指導が受けられる
ってことが上げられるかな。
これは非常に大きなメリットだね。
明治維新以降の日本の興隆は、この初等・中等教育の充実にあるという人もいるくらいだ。
でも今は、公立の中学に不信感を持つ親が多いみたいだね。
なぜだと思う?「え~っと、なんだろう。
校舎がしょぼいとか? トイレが汚いとか?」
ははは、まあ古い学校だと、そういう問題もあるんだろうね。
でも一般的にいうと、公立中学のデメリットはまず、1.できる子供には、レベルが低い2.できない子供には、レベルが高い3.総学習時間が少ない(補習もない)などといったことだ。
今の公立中の大きな問題は、生徒の学力レベルにあった教育が、できないって事なんだ。
というのも、公立の場合、生徒間の学力のバラツキがものすごく大きいからね。
原因を探れば、それはもちろん小学校教育にあるんだろう。
というのも、今の小学校には、子供の学力を上げるインセンティブがないからね。
「インセンティブ?」
インセンティブっていうのは、人をある方向に行動させる材料のことだよ。
たとえて言えば、馬を走らせるために鼻先にぶら下げるニンジンみたいなもんだね。
いい点とったら必ずほめるとか、勉強したらおやつを増やすとか、そう言った仕組みのことだ。
「ご褒美(ほうび)みたいなもの?」
ご褒美もインセンティブの1つだけど、まあ似たようなものかな。
ダメだったら、何かのペナルティを課す場合も、インセンティブになる。
これについてはまた後で詳しく話すことにするけど、インセンティブって言葉は何度も出てくるので、しっかり覚えておいて。
「オッケー。
インセンティブね。
覚えとく」
で、話を戻すけど、小学校の先生には、生徒の学力を上げるインセンティブがない。
なぜなら小学校の先生は、教えている生徒が勉強できなくっても職を失うことがない。
子供にケガさせず、安全に家に送り返せば、それで職務完了だ。
中学校進学に関しても、ほとんど考える必要がない。
中学受験は家庭の自由意志だし、勉強を教えるのも塾がやってくれる。
また小学校で勉強を教え損なっても、卒業生は公立中学が100%引き取ってくれる。
な~んも責任がない。
こんなシステムで、子供にちゃんと勉強が教えられたら、おかしいくらいだ。
だから子供が中学に上がる時点で、すでにとんでもない学力差がついてしまっている。
「ふ~ん、そうなの?」
だって考えてごらんよ。
ミキちゃんみたいに、中学受験の勉強はしたけど結局私学には行かなかった生徒とか、
小学生のあいだに英語の塾に行っていて、英語は英検3級以上持ってる生徒なんかが、たくさんいるんだよ。
最近は、外国から帰ってきた帰国子女の生徒も多いけど、
こういう家庭はたいてい教育熱心だから、勉強がよくできるし。
ところがその一方で、できない子供は、かなりできないんだ。
漢字の読み書きも苦手だし、計算なんかもいい加減だ。
わり算ができない、小数の計算が苦手、分数の通分も無理…、
ヒドいときには小2で習う九九すら、ちゃんと覚えていなかったりする。
こんなとんでもなくできる子供と、とんでもなくできない子供を1つの教室に入れて勉強を教えているのが、今の公立中の現状なんだよ。
だから、できる子には授業が退屈で、できない子は授業についていけないってことが、当たり前のように起こる。
つまり成績上位の生徒からも、成績下位の生徒からも不満が出るわけだね。
中学というのは、中等教育の前半の学問を教えるところだけれど、
公立中学は義務教育の受け皿だから、学問に興味のない生徒や学力がない生徒も受け入れねばならない。
そして平等(機会均等)の美名のもとに、できる子供には歯ごたえのない授業を、
できない子供には何を言っているのかチンプンカンプンの授業を、毎日与えているわけだ。
この辺が、今の公立中学の問題なんだね。
【公立中学の問題点】 公立中学では、通う生徒の学力のバラツキが非常に大きい。
とんでもなくできる子供から、とんでもなくできない子供まで、一緒くたにしているから、成績上位の生徒からも、成績下位の生徒からも不満がでる。